潰れかけたUSJをV字回復させた「森岡毅」氏の手腕と名言まとめ

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USJがV字回復を続け、2015年度も快調に業績を伸ばしている。

これは昨年2014年7月にOPENした、ハリーポッターエリアの影響が非常に大きい。

USJの快進撃は止まらない。

今から5,6年前、USJへ行けば、1日でほぼ全てのアトラクションに乗れていた。

だだっ広い敷地の割には人はちらほら歩いてるだけで、「USJ大丈夫か?」と思いながらパークを歩いたことを覚えている。

実際にパークは赤字が続いており、危機的状況にあったらしい。そこからのここ数年のV字回復は、まさに魔法のようだ。

目次

USJ復活の裏には、最強マーケターがいる

20150620085329以前から近年のUSJの怒涛の変化を見て、きっと誰か新たな改革者が入ったに違いないとふんでいた。

しかしそれが誰かわからないし、ネットで検索しても出てこなかった。

この化け物のようなマーケターはいったい誰なのか。願わくば、その凄腕マーケターのお話を聴いてみたいと思っていた。

そんな時に出会ったのが、この本。

『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』

USJをV字回復に導いたCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)、森岡毅氏が自らUSJの施策及び自分のアイデアの思考法についてまとめた本である。

約1年前に書店で見つけて購入し、その後もう10回は読み返している。

森岡氏は、USJのCEOであるグレン氏に請われ、マーケティング担当として入社し、入社と同時に、様々な起死回生のアイデアを立て続けに実行していった。

そして、その施策は見事ヒットを繰り返し、2014年度にはついに開業以来の最高入場者数の記録を更新するまでにUSJを復活させ、さらなる高みへと登りたらしめた。

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↑2014年度、開業以来の年間入場者数最高記録を更新
出典:http://prtimes.jp/

今回は、その凄腕マーケター・森岡毅氏についてご紹介していきたい。

森岡氏が行ったUSJの劇的変遷まとめ

森岡さんはUSJのCEO、グレン氏に請われて入社したのは2010年。

入社前後の数ヶ月をかけて、入念な調査を行った後、森岡さんは次々にUSJの起死回生アイデアを練りだしていく。

まずは、森岡さんが行ったUSJのプロジェクトについてまとめた。

震災の自粛ムードを吹き飛ばした『関西のキッズ無料招待』

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出典:http://prtimes.jp/

(2011年GW~)

2011年度はUSJの開業10周年の年であったが、3月の東日本大地震以降、客足がパッタリと途絶えてしまった。
関西でも震災に対する自粛ムードが広がり、パークへ人が行くことに罪悪感を感じてしまっていた。

そこで、森岡氏は、橋本徹大阪府知事とタッグを組み、関西の子供を無料でパークに招待する『スマイル・キッズ・フリー』を実施した。

その結果、キッズフリー対象の子供を連れた家族が多数来場。それに続いて、キャンペーン対象者以外の来客も増えていった。

 

宣伝を強化し一気にブレイク!『ワンピース・プレミアショー』

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出典:http://prtimes.jp/

(2011年夏)

USJで既に数年前から、ひっそりと行っていたワンピース・プレミアショーを、テレビCMを利用して大々的にアピール。

ワンピースファンを取り込み、5年間毎年継続して行われている人気ショーとなった。

大人気ゲームとコラボ!『モンスターハンター・ザ・リアル』

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出典:http://prtimes.jp/

(2011年夏)

カプコンとのコラボを実現し、人気ゲーム「モンスターハンター」に登場するモンスターを“等身大”のサイズでリアルに展示。

圧倒的な迫力とクオリティで、全国のモンハンファンをつかんだ。

パーク内にゾンビが出現!『ハロウィン・ホラー・ナイト』

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出典:http://prtimes.jp/

(2011年秋)

パーク全体をお化け屋敷化。パークのエリア内をゾンビが徘徊する画期的なハロウィン・イベント。

これまでハロウィン・イベントは7万人程度赤字だったにもかかわらず、追加集客数40万人以上が来客し、6倍以上の集客に成功した。

一生に一度は見たいツリー1位!『世界一の光のツリー』

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出典:http://prtimes.jp/

(2011年冬)

「ユニバーサル・ワンダー・クリスマス」イベントにおいて、高さ36メートル、33万個のLEDで飾ったギネス認定の世界一のクリスマスツリー。

「一生に一度は見たいツリー」ランキングで堂々の1位を獲得した。

ファミリー層を取り戻した『ユニバーサル・ワンダーランド』

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出典:http://prtimes.jp/

(2012年春)

USJのアトラクションはリアルかつスリル溢れるものが多く、大人にとっては魅力的なパークだが、低年齢の子供が楽しく遊べる場所に欠けており、ファミリー層の集客が弱かった。

そこで、子供連れファミリー層をターゲットとした『ユニバーサル・ワンダーランド』を建設。

その結果、それまでは740万人程度だった年間集客数が、2012年度は975万人へと大幅に増加した。

USJ人気を不動のものにした『ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バッグドロップ~』

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出典http://prtimes.jp/

(2013年春)

もはやUSJの代名詞とも言えるアトラクション。

元々人気があったジェットコースターを「後ろ向き」に走らせる、という画期的なアイデア。

ディズニーランドが30周年を迎えたことや、来年にオープンするハリーポッターに向けて客の行き控え、という二重苦があったにもかかわらず、低予算で来場者数を増加させた。

バックドロップは、オープンと同時に長蛇の列ができ、国内のアトラクション待ち時間記録を更新(9時間40分)した。

当初は一時的なイベントしてアナウンスされていたにもかかわらず、あまりの人気で通常のアトラクションとして導入された。

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出典:http://prtimes.jp/

リノベーションでさらに人気度アップ!『スパイダーマン・ザ・ライド‐4K3D』

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出典:http://prtimes.jp/

(2013年夏)

以前から人気があったスパイダーマン・ザ・ライドを、世界最高水準の映像技術「4K3D」化して、何段階もパワーアップさせたアトラクション『New アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド‐4K3D』。

リノベーションながら、TVCMで新鮮さをアピールし、全く新しいアトラクションとして来客者へ認識させることに成功した。

 

生存率0.004%!常識を覆した『バイオハザード・ザ・リアル』

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出典http://prtimes.jp/

(2013年秋)

これまでのテーマパークは、ディズニーランドや他のテーマパークのどんなアトラクションでも、最終的には全員がクリアできるものだった。

だが、その常識を覆し、クリアできる確率が限りなく“ゼロ”に近いシューティングアトラクションイベントを開催。

カプコンの人気ゲーム『バイオハザード』の世界をリアルに体験できるアトラクション。

総額450億円!日本中が待ち望んだ『The Wizarding World of Harry Potter』

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出典:http://prtimes.jp/

(2014年7月)

子供から大人まで世界中の人々から人気を博す、世界で最も売れたファンタジー本『ハリー・ポッター』の世界を細部までこだわってリアルに再現したテーマパーク。

その建設費用はなんと450億円。

森岡氏はこのハリーポッター建設のために、様々な施策を成功させる必要があったともいえる。

ハリポタファンならたまらない街並みやアイテムグッズが目白押し。USJの人気を何段階も引き上げた、ミラクルアトラクション。

ハリー・ポッターエリアの完成により、2014年度、ついにUSJ開業以来初となる最高来場者数記録を更新した。

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出典:http://prtimes.jp/


森岡毅氏とはどのような人物なのか?

上記のプロジェクトは、一人のマーケターから立案された。

そのマーケター・森岡氏についてまとめた。

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↑USJのCMO、森岡毅氏(出典:http://prtimes.jp/

P&G時代に培われたマーケティング力

森岡氏とはどのような経歴を歩んでこられたのか。以下は著書のプロフィールから。

1972年生まれ。神戸大学経営学部卒。96年、P&G入社。日本ヴィダルサスーン、北米パンテーンのブランドマネージャー、ヘアケアカテゴリー・アソシエイトマーケティングディレクター、ウエラジャパン副代表などを経て、2010年にユー・エス・ジェイ入社。革新的なアイデアを次々投入し、窮地にあったユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させる。12年より同社チーフ・マーケティング・オフィサー、執行役員、本部長。

森岡氏は自称「数字のロボット」と呼び、数学的思考法を活用し、テクニカルなマーケティング手法を駆使して戦略を導き出すプロ。

P&Gのマーケティング部は、就活生にも超難関のエリート部署。森岡氏の根源となるマーケティングノウハウは、P&G時代に培われたもののようだ。

入社後に打ち出した2つの大戦略

森岡氏は、入社して数か月のうちに、USJの今後の方向性を打ち出す。

間違った“こだわり”を排除し、テーマパークのコンセプトを見直すこと、そしてUSJを復活させ、長期的に発展していくための戦略を打ち出した「3段ロケット構想」である。

戦略①:間違った“こだわり”の撤廃

森岡氏が入社して、徹底した現状分析を行った際に気付いたのが、USJの「方向性を間違ったこだわり」だった。

1.消費者のニーズとズレた“こだわり”

USJは技術的には非常に高度な技術を有し、品質面でも他のテーマパークよりも優れたものをつくっていた。

細部までのこだわりは強く、精巧なものだが、消費者視点でものをつくるという点がズレており、その是正にかかった。

2.「映画だけ」に特化する“こだわり”

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのコンセプトは、当初「映画」をコンセプトにしたテーマパークであった。

それはそれで映画ファンには良いのかもしれないが、「映画だけ」のテーマパークは、日本人がテーマパークに求めるニーズを自分たちで狭めてしまうものであった。

そこで、「映画の専門店」という考えから脱却させ、「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」へとコンセプトを大幅にシフトさせた。

人によっては、「USJは映画のコンセプトが崩れて、最近なんでも屋になったからおもしろくない」という声もあるが、多くの人がその変化を喜び、ニーズがあることは、USJのここ数年の劇的な来場者数の増加が物語っている。

戦略②:3段ロケット構想

image0620森岡氏は、これからの全社的な方向性を決めるにあたり、その当時USJが抱えている問題を打破し、飛躍的に成長させる戦略構想を練り上げた。

それが「3段階ロケット構想」というものだ。

これは、限られた資金の制約の中でも、劇的な発展を遂げるために、成長段階を3ステップに分けて、資金をやり繰りしながら、会社を段階的に拡大させていく構想であった。

『3段階ロケット構想』

  • 1段目ロケット:「家族連れ顧客(ファミリー)」を取り込む
    ⇒2012年春までに、ユニバーサル・ワンダーランドを設立
  • 2段目ロケット:関西依存の集客構造から脱却する
    ⇒2014年にハリー・ポッターのテーマパークの誘致
  • 3段目ロケット:USJのノウハウを複数の場所複数の場所に展開する

中国の三国志時代、劉備玄徳に仕えた天才軍師、諸葛亮孔明は「天下三分の計」を劉備に与え、天下を狙う大構想を練った。

優れたマーケター・戦略家として、長期的な目標を設定し、それに向けた戦略方針を立案することが非常に重要であり、かつそれに基づいて実行されていくことが大切だ。

アイデアは苦悩を乗り越えて導き出したもの

森岡氏の成果だけを上げると、とんでもないアイデアの天才だと思いますが、著書ではそのアイデアに至るまでにさんざん時間をかけて考えつくし、震災影響や資金不足等のピンチの中、苦悩の中で生まれたことが紹介されている。

「そんなわずかな資金で大ヒットを放てる都合の良い魔法がある訳ないだろう」
そんな声が頭の中で響き始めるようになりました。その声を「いや、必ず何かあるはず!」という別の声で打ち消し、ファイティングポーズだけは絶対に崩しませんでした

毎朝鏡に映る自分に、「絶対に何かあるはずだ!それがあるのにおまえが見つけられていないだけだ!」と暗示をかけて、弱気になる自分を騙しながらわパークを歩いてひたすら考えていた

圧倒的な成功の裏には、圧倒的な努力がある。それを気付かせてくれる言葉だと思う。

森岡毅氏の10の名言

著書で述べられている内容の中で、個人的に好きな言葉をご紹介。

マーケティング以外の仕事にも通用するヒントに溢れている。

正しい目的であれば、追い詰められて駄目だと思っても、無理だと思わず絶対に諦めずに執着し続けること

戦略的な発想方法があれば、その執念を苗床にしてきって苦境を打開する「アイデアの神様」は降りてくる

マーケティングをやる人間は、何でも自分自身でやってみることを習慣にするべき

困ったら、答えは現場にある

そのアイデアが実際にどれだけ成功するか、最後のビジネスの結果は、エクセキューションで決まる
(※エクセキューション・・・実地段階での戦術の詰め)

世の中からアイデアを探して盗んでくることを真っ先にやることは、マーケティングをやる人間には絶対に必要

また、著書以外でもネット記事などでも名言を述べられています。

実は私、他人に好かれることに1ミリも興味がないんです(笑)

出典:http://president.jp/articles/-/12408?page=3

すぐに経年劣化してしまう中途半端な映画ブランド10個に毎年45億円ずつ投資するよりは、数年に一度、絶対に人気の衰えない強力なブランドに450億円投資したほうがよほど効率的です。

出典:http://president.jp/articles/-/12408?page=2

自分をさらけ出すとはいっても、心の中にある心配や弱気は封印します。彼らが自信を持って目の前の仕事やゲストと向き合うためには、誰かが、この場合は私が『絶対に大丈夫だ』と断言しなくてはいけないのです

出典:http://president.jp/articles/-/12420?page=3

数学は世の中の因果関係、人の行動の本質的理由を導き出すための興味深い切り口を気づかせてくれる欠かせないツール

出典:http://president.jp/articles/-/12423?page=3

森岡氏の意外な2つの弱点

様々なアイデアを立案し、立て続けに成功を収めている森岡さんだが、実は意外な弱点があるとのこと。

大の“方向音痴”

本人曰く、「世界最高の方向音痴」とのこと。著書内でもその一例が紹介されている。

  • モンスターハンターをUSJへ導入するために、カプコンに交渉へ向かった時、あらかじめ十分な余裕を見て車で向かったにもかかわらず、結局道に迷ってしまい、モンハン責任者が道まで出てきて誘導してくれた。
  • 大学時代も電車を頻繁に乗り間違えていた
  • 打つ方角がわからないのでゴルフはやらない
  • 駅から見えているビルへ行こうとして歩くも、どんどん離れていき、重要なビジネス会議に大遅刻した

“カワイイ”という感覚がわからない

また、カワイイという感覚がわからないという弱点もあるとのこと。
前職のP&Gで、ヘアケア商品のパッケージデザインなどを議論していた際も、「どれがカワイイかな」という議論をするとまわりといつもズレていたらしい。
(出典:USJ、“カワイイ音痴”のマーケターの仕事術)

方向音痴やカワイイ感覚がわからない、というお茶目な一面もあることに、人間味を感じますね(笑)

まとめ

USJの劇的な成功の裏には、敏腕マーケター・森岡氏の存在が大きい。

マーケティングという技術の強力さに改めて感動している。

そして、マーケティングとは、アイデアを立案するだけでなく、それを正しく「実行」することが重要であることに気づかされる。

誰でもアイデアを考えるのは出来るかもしれないが、それを実際に行動し、成果をあげられるかが大きな違いとなる。

それに、いかにマーケティングが優れていたとしても、それを受け入れ採用するリーダーがいること、計画を実施し、実際の製作を行う優秀な技術者やスタッフがいること。

そして全員が一丸となって目標に向かってチームワークを発揮できる環境をつくることが、非常に大切なことだとも感じる。

僕もマーケティング道を究めていきたいと改めて思った。

追伸

ハリーポッターエリアのメインアトラクションである、『ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー』が、2年目であるにもかかわらず、今年7月に早くも「3D」へと生まれかわり、世界初そして世界唯一の3Dアトラクションとして進化することが発表された。

また、夏イベントの一つとして、現在全国の子供に大人気の「妖怪ウォッチ」とのコラボ企画『妖怪ウォッチ・ザ・リアル』が開催されるとのこと。

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出典
:http://prtimes.jp/

ゲームやアニメでお馴染みの妖怪ウォッチの街並みがリアルに再現され、参加者は「妖怪ウォッチ」と「妖怪パッド」を駆使し、いたるところに隠れた妖怪を探すというウォークスルー型の体験型アトラクションらしい。

「世界最高をお届けする」のコンセプトのもと、森岡氏、そしてUSJの成長は今年も続いているようだ。

森岡毅氏の書籍


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